カテゴリ:音楽 美術 映画など( 26 )

南の花は

少し前のことだけど、
箱根に絵を見に行った。

岡田美術館の『田中一村』展。

日本画というものは、もうひたすらに美しい、
それも日本的に予定調和として細部に至るまで美しいものだと思う。

田中一村は独特。独特…ていうのも違うのか。
神童と言われた日本画家が、
日本画としての静謐(そもそも絵には音はないが、動きという意味の静かさ)を保ちながら、
奄美大島という「南」で見出した日本画の新たな水平線、というのかも。

奄美大島で数年かかって絵の具代を稼ぎ、お金がある間が創作に励み、
展覧会を開くことを目標とし、毎日散歩をし動物や植物を観察し続けた、貧しさの中でも明るい目をした画家。
そういうヒストリーも、日本画がイメージさせる大家とは違う。

メインストリームにはのれなかったことなど、
日本画を良く知る人に、
「お師匠さんとかいわなかったのかなぁ」とか素人丸出しできいてみた。
そういうのは、言う方も言われる方も、難しいものらしい。
言ったがために、描けなくなってしまったりして、自殺してしまうくらいシビアなものだとか。

そういう意味では、自分の世界を苦難のうちにも見出し、描くことができたということなのかも。
展覧会では、技術を見せびらかすように書くことはしない、わかる人だけにわかればよい、というような文言の色紙もあった。
絶筆となった『アダンの海辺』では署名がない。署名するだけの力さえ残っていなかったとしているけれど、これは俺にだけしかできない、俺の絵という自負もあったのかな、とか考えたりした。

没後110年か何か記念の年回りもあり、各所で展覧会(フランスでも)あったせいか、
作風の変遷を見るには点数が少なかった。
好き好きある絵だと思うが、
気迫のこもった作品に、枠というものの明るい破壊を見た。

岡田美術館自体は2回目だったのと時間的にあまり見られなかったが、
東洋のコレクションの点数はすごいものがあり、クロノロジーに沿ってみられるのと、外の足湯がおススメ。









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by Bird_W | 2018-11-27 08:30 | 音楽 美術 映画など | Trackback | Comments(0)

メイプルシロップ色

図書館で見つけた本。


天才美少女ヴァイオリニストの系譜は長い、
その中では音大卒ではなくキャスターなどもやるマルチタレントの草分けである千住真理子。
線が細い外見とはちょっと違う、ヴィルトゥオーゾタイプではないが、のびやかで深い美音の人。

ストラディバリウス購入までのお話がとても面白かった。
ふつうの家で億単位(現在は3億ともいわれる)のローンを組むのも大変な話。

以前、テレビで千住真理子がストラディバリウスを弾いた。
音色の違い…というのをテレビでって、よく引き受けたなぁと思った。
それは、聞いている人にこの音をなんとかして伝えたい…という気持ちは良くわかるものだった。

音色という色もまた混ざり具合。
それは沢山の音色を聴き、音を探し音で世界を作るということに心を砕いてきて、初めてわかるものなのかも。

ストラディバリウスは、倍音のよく出る楽器らしい。耳に聴こえるというか体で鳴っているような。
自分の想像する音を超えた音色が聴こえたとき、それはどういう感じのするものなのだろう?

このストラディヴァリウス・デュランティが、千住真理子というヴァイオリニストを選び、
千住真理子はそれを手にするために、人生を賭けたということなのかも。
この楽器は人生の伴侶というように書かれていた。そうね、道連れなのかも。

楽器を弾きながら光の方へ上っていく。
ニスの色、深くて明るい蜂蜜がかったメイプルの色、その階段を踏んでいく。

また最近、YouTubeなどで動画を見たり、コンサートに行きたいなと思ったりしている。
昔はあまり好まなかったものが以外に良かったり、
決めつけるものでもないなぁと感じた。
耳を傾け、心を開け。


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by Bird_W | 2018-11-26 08:30 | 音楽 美術 映画など | Trackback | Comments(0)

11月の映画

見た映画。

映画の中でパリはいつも少しだけ嘘をついている。その美しさに皆「ま、いいか」と思ってしまう、そのたぐいの嘘。
映画には「匂い」(決して香りではない)がないから。あれがないとリアルじゃないよねと毎回思う。
豪壮瀟洒なオスマンチックなアパルトマンの脇にある、入り混じった動物的な匂いのする薄汚れた横道とかね。

この映画は、どこまでもリアルにパリで生きる若い女をヒロインにしている。
そもそもヒロインでさえ、ヒロインチックではなく、ただただ若いだけ(29歳とサバを読んでる31歳)。「美しくないという設定のあるモデルめいた美女」ではない。性格もさして…。そんな彼女に訪れた運命の一撃(ていうか、男に捨てられて追い出された…)

突然、ひとりになったとき。世界からパシーンと平手打ちを受けたような状態。そういうことはある。
ないない尽くしな彼女のみっともないような苦闘。ハッピーエンドや悲劇という御膳立てとしての展開はない、そういうヒューマンドラマ。
ただ、必死に手を振り回していた主人公が、なんだかわかんない混ぜこぜで、自分の人生を少しだけ自分の手元に引き寄せている、自分のいる場所を数センチ増やしている。辛い決断を自分なりに下して。
リアルな青春映画@Paris。

見たい映画。
アニエス・ヴァルダが相棒写真家と、ポートレイトを取りながらフランスの南や北を旅する。
ロード・フォトグラフ?のロードムービー。ドキュメンタリー映画(カンヌのドキュメンタリー部門最優秀賞)。


あとはこれ。


リチャード・ギアが怪しいフィクサーをやる。こういうイイ人そうなコンサルって実在する気がする。
そんで「あなたのゴタゴタ」を引き取ってくれるらしい。
大歓迎。

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by Bird_W | 2018-11-18 18:30 | 音楽 美術 映画など | Trackback | Comments(0)

青に浮かぶ

ミクロコスモス。
複雑で微妙なレースを編み上げていく繊細な指使い。
トルナトーレ監督(やモリコーネ)が紡ぐ、宇宙や光、永遠や死。変わらぬテーマの「愛」。
ニューシネマパラダイスのエピソード、鑑定人の続きも埋め込んでいる。

ヴェニスを小さく冷たく青くしたような小さな島、サン・ジューリオ島が何度も出てくる。
北イタリアの湖に浮かぶ島は、宇宙を思わせる青い水に光る星。


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Correspondence(原題)は、通信だけれどももともとは呼応。
湖水の反映、星の爆発、メール、ビデオレター、チャット…
遠くにあってもつながっている、何かが見える、聞こえるというのは
その先にはだれかがいるということ。
その誰かがこの世のものではなくても。


決して楽しい映画ではなく、長尺で中味も濃いので万人向きとは言えないけれど
ミステリーとその回答ではなく、答えの出ない謎の好きなひとに。
ロンドンの雨がちな緑や北イタリアのグレーの空、鮮やかな色の美しい風景が流れていきます。

記念日ごとのギフトが嘘に感じられる時もあるし、
微笑とジョークに満ちた画像の裏にある苦痛が、全てを伝えるときもあるし、
石膏の彫刻の誤って流した涙が作品の陰影となることもある。

唐突だけど、
愛ってさ
自分が完璧ではなかった、と知ることかもね。
その揺らぎを、それでいいんだと思うことなのかも。







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by Bird_W | 2017-05-05 08:00 | 音楽 美術 映画など | Trackback | Comments(0)

いつか見たまなざし


夏の始まりに見に行った映画。

「はじまりのうた」のジョン・カーニー監督。
ダブリン少年少女物語でした。ベタだベタベタ!と思うものの、うなずける小品。80年代のブリテイッュ・ロックが好きな人にはあれやこれやにやにやできるかも。いろいろとその時代のMV(!)を思い出した。「はじまりのうた」のまたその始まりのようなジミーな映画です。しかし、こう来ると是非にもコレみたいです。↓



そして、ロックつながりでこの漫画。

日々ロック 1 (ヤングジャンプコミックス)

榎屋 克優/集英社

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もともと楽器を習ってたしまってたがゆえに、ロックにはたどり着かず。バンド活動とか良くわからない。クラシックは作曲と演奏はほぼ完全分業制なため、、、そんな私にも面白かった。笑える!痛快!めちゃくちゃ。でもこういうイタイのか痛々しいのかわかんないのが、セーシュンな気もする。

自分の中学時代や高校時代も思い出したくないくらい恥ずかしい。。。そういうもんでしょ。でも、それでもバクハツしきれてなかった気もする、永遠の未完成な時代なのね。でもこの漫画、1巻しか読んでない。実は仕事でツラくなったときのために、読まずに置いてあります(笑)。


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by Bird_W | 2016-10-12 08:30 | 音楽 美術 映画など | Trackback | Comments(0)

蘇りがえり?黄泉がえり?(付記あり)

『レヴェナント:蘇えりし者』 映画前売券(ムビチケEメール送付タイプ)

ムビチケ

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厳しい自然と人間世界の迫力の映像。

美化された自然の映像には匂いがない、といつも思うのだけど、
これは樹の匂い、動物の生臭い息づかい、血の熱さ、凍える雪の冷たさなどが伝わってくる。

最後の方のシーンで血のりがカメラに飛び、
普通はカメラレンズの存在を示すから、そういう映像使わないはずですが、
そのままで。
でも、それもまた有りだなと感じました。

ディカプリオ(←ジョニデから修正)がこれでオスカー決めた映画、という先入観満載で観に行った。
そして
「これでオスカー獲れなかったら泣くね」と思った。

ディカプリオがいいけど悪役もすごくらしくて良かった。
最後の最後まで憎まれ口。拮抗してました。

長さを感じさせないですね。
見終わったら夜になってた。
なんとなくそのまま車で高速走って、
雨の中、夜の海。

潮の匂いがむっとして真っ暗な海は、とても怖かったです。
いやそういうの見たくなる映画ですって。
10分で撤収しましたが。

付記
雪のシーン、あの川が良い。
黄泉の国と下界を区切る横切り感。
イザナギイザナミをなぜか思い出しました。

悪役が川に流れていく、浄化されていくというイメージもマッチしていました。
ナイフのシーンも多かったからでしょうか?
どんだけのクルーで撮ってるんだろう、いやスゴイなと圧倒的でした。

この撮影で撮影監督は3度目のオスカー(!)。
映像あっての映画ですね。

すぐ原作を読みたくなる性から、調べると、原作も良いらしい。
なんと実話。
既に一回映画化されているようです。

黄泉がえりだと日本では使えないというのはわかる。
死んではいないのだから…蘇ってもいないのかな?
いや、息子と共に彼は死んでしまったのかも。
ただリベンジだけのために生きてきた。
家族という共同体と強く結ばれた魂があって、はじめて生き抜けた過酷な自然世界。
途中ですれ違い、彼を助けたネィティブアメリカンもそうだった。

そういう時代。


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by Bird_W | 2016-05-11 08:31 | 音楽 美術 映画など | Trackback | Comments(0)

連休のあちこち

あ、あと一日だ。。。
天気悪すぎ、忙しすぎ。まだまだ自分のペースで動けないのだ。。。
ま、仕方ないっす、始めは気張ってもソコソコ。

先週末は、あちこち遊びに行った。
まずは…映画。
邦題『オデッセィ』

The Martian [Blu-ray + Digital HD]

20th Century Fox

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春休みの子ども映画が多かったからか、一日に上映1回のためか、満席。
お話は面白かった。
SFというよりアドベンチャー映画。
理科系の映画、というか実験系?
とにかく工夫が沢山あって、生きてるって日々頭使うってことなんだな~と実感させられる映画でした。
SFにはなんとなく「自然に対して傲慢な人類にふりかかる不幸」「黙示録を反映した終末の世界観」みたく、
ウツっぽいものがある。
が、とりあえず先のことはワカラナイ。徹底的にワカラナイのだから、予期不安に陥る必要…時間はないのかなと思った。

いつものように映画館ではグミを山盛り。
大人なのに真剣にグミを選ぶ。これすっごい贅沢感があるネ。
小さな満足感や達成感が大事。
ま、大小あんまし関係ないんです、宇宙では重力ないから。。。(かなり無理矢理な結論)。





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by Bird_W | 2016-03-24 20:55 | 音楽 美術 映画など | Trackback | Comments(0)

雨降り

やっぱり冷蔵庫ダメだわ。
外の方が寒いもん。
山から下りて書類仕事。
年取ると経歴を整理するのは大層頭が痛い。学校名とか社名とか変わるし!

最終的には証明写真を撮りに行き「ああ現実は厳しい」と実感したのだった。
そこには見知らぬオバサンが。。。
ちょっとお金を払えばリタッチ(!)で好印象仕上げできるらしいが…
もーそこまではね。仕方なしね。
コスメなどではどうしようもなくってよ。

山で見た映画。
すっごく凝った作りのスパイ映画(なんだよね?)
凝り過ぎで、頭がついていけないヨ。

と、山頂を思い出していました。

ぽやぽやっと。

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by Bird_W | 2016-01-30 07:30 | 音楽 美術 映画など | Trackback | Comments(0)

シネコン vs ミニシアター

お正月から1月連休にかけてみた2本の映画。

まずは定番っちゃ定番。

これがね、あらすじをいまいち思い出せない。
追う、逃げる、つかまる、危険、危険から抜け出す、逃げる このあたりの繰り返し。
よくできたこなれた展開に、豪華な舞台。場所も次々変わります。
ボンドガールも二人(一人はガールは失礼か)登場。

ラストシーンは、次もあるよってことなのか、それとも現在の世界情勢に配慮したのか。
今回は、主人公だけではなく脇役にもスポットがあたり、ボンドとその仲間たちの映画になってたかも。
個人的には今回は舞台となる風景、小道具などが良かったかな。
まったく感情移入できないところが良し。

そしてミニシアター。
学校や出版など併設した活動をしているイメージフォーラム。
朝10時30分から並んで整理券もらう。この日暖かくてよかった。



『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』
写真がとにかく素晴らしい。
叙情的、という言葉がぴったりくる作品の数々。

そして、字幕が柴田元幸。これもまた楽しめます。
平易な話し言葉を、小難しくなく哲学的にもならず、
かといって日常にまみれすぎない映画の中の言葉と訳するのは難しい。

写真とNY、人間の後ろ姿が好きな方は是非。

折しも、David Bowieの訃報。
美しいものよ、永遠に。

いや、美しいものは永遠に再生可能なのだ。
生かそうという意思によって。



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by Bird_W | 2016-01-12 13:30 | 音楽 美術 映画など | Trackback | Comments(0)

Begin again

邦題『はじまりのうた』。
キーラ・ナイトレイ主演の佳品です。

いろんな意味で素晴らしい作品です。




歌がね、ぐっときます。
出会いと別れと、
到着と旅立ちと。
テーマとアレンジ。
BritishとUSAのカルチャー。
アコースティックギターとラッパー、
キーラ・ナイトレイの華奢なイギリス娘的ワンピースファッションも、
ヤンキー娘のぴちぴちファッションも。

全編の映像が美しく、
シークエンスが過去と現在を行き来しながら、未来へと流れていく。
そしてすうっと光のなかに消えていく。
開かれたページがそのままに風が吹いていくみたいに。

そういうのも、音楽らしくて。
儚い。
にんべんに夢と書くのか。

菊地成孔の秀逸な評があります。

そういえばスガシカオのコンサートいったとき、
「これ作曲したひとが歌ってるんだここでワオ!」と思いました。
クラシックだとそういうことないので…
ある意味死人ばっかし(そういうこと言っていいのか)。
没後100年くらいだと「若い」感じだもん。

そういう世界もいいけどね、
こういう現在を切り取る映画はステキだ。





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by Bird_W | 2016-01-06 08:30 | 音楽 美術 映画など | Trackback | Comments(0)

文鳥は旅立ち、私は日誌を続けています。(カテゴリーは整理中です)


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