人気ブログランキング | 話題のタグを見る

文鳥日誌 birdwhite.exblog.jp

とびとびにっき


by Bird_W

南の花は

少し前のことだけど、
箱根に絵を見に行った。

岡田美術館の『田中一村』展。

日本画というものは、もうひたすらに美しい、
それも日本的に予定調和として細部に至るまで美しいものだと思う。

田中一村は独特。独特…ていうのも違うのか。
神童と言われた日本画家が、
日本画としての静謐(そもそも絵には音はないが、動きという意味の静かさ)を保ちながら、
奄美大島という「南」で見出した日本画の新たな水平線、というのかも。

奄美大島で数年かかって絵の具代を稼ぎ、お金がある間が創作に励み、
展覧会を開くことを目標とし、毎日散歩をし動物や植物を観察し続けた、貧しさの中でも明るい目をした画家。
そういうヒストリーも、日本画がイメージさせる大家とは違う。

メインストリームにはのれなかったことなど、
日本画を良く知る人に、
「お師匠さんとかいわなかったのかなぁ」とか素人丸出しできいてみた。
そういうのは、言う方も言われる方も、難しいものらしい。
言ったがために、描けなくなってしまったりして、自殺してしまうくらいシビアなものだとか。

そういう意味では、自分の世界を苦難のうちにも見出し、描くことができたということなのかも。
展覧会では、技術を見せびらかすように書くことはしない、わかる人だけにわかればよい、というような文言の色紙もあった。
絶筆となった『アダンの海辺』では署名がない。署名するだけの力さえ残っていなかったとしているけれど、これは俺にだけしかできない、俺の絵という自負もあったのかな、とか考えたりした。

没後110年か何か記念の年回りもあり、各所で展覧会(フランスでも)あったせいか、
作風の変遷を見るには点数が少なかった。
好き好きある絵だと思うが、
気迫のこもった作品に、枠というものの明るい破壊を見た。

岡田美術館自体は2回目だったのと時間的にあまり見られなかったが、
東洋のコレクションの点数はすごいものがあり、クロノロジーに沿ってみられるのと、外の足湯がおススメ。









by Bird_W | 2018-11-27 08:30 | Trackback | Comments(0)