蝶の道しるべ

 10年前くらいに見た夢だった。

 ワルツのリズムでシーンが展開して、
 ダイニングテーブルには引出しがあって、銀のカトラリーが揃っていた。
 壁に立てば扉がベッドルームに続いていた。
 踏み出せば部屋があって、
 ジグザグの回廊が闇の中に赤く浮かんでいた。

 しまった。
 道に迷った、と思ったときに、
 前方で紫の蝶が羽ばたき、銀色の鱗粉を落としていった。
 美しさに胸が躍ったとき怖さを忘れて、目が覚めた。
 
 マッチ売りの少女は売れ残りのマッチでこんな光を見たのかもしれない。
 私は生きていたけれども、
 怖いほど闇が深いときには蝶の夢を思い出していた。
 何度も強く思い描いていた。
 銀の粉がゆらっと舞い落ちて、私の行く先を照らす。
 その白い湿った輝きに導かれ、いっとき闇の深さを忘れて。

 ずっと眠らなかった。

 
 
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by Bird_W | 2013-10-17 07:37 | Trackback | Comments(0)

文鳥は旅立ち、私は日誌を続けています。(カテゴリーは整理中です)


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